研究概要 |
本研究では軟骨細胞にフレクサ-セルを用いて周期的伸展負荷を加え,メカニカルストレスが軟骨基質の合成,あるいは軟骨破壊因子および成長因子の遺伝子発現に及ぼす影響について検討した。 1)軟骨細胞に周期的伸展負荷を加えると,プロテオグリカン合成能は負荷を加えることのよりコントロールの無負荷群と比較すると有意に上昇したが,5kPa負荷群の上昇率(対照比230.3%増)は,15kPa負荷群(対照比179.1%増)に比べ高かった。 2)DNA合成能はどちらの条件においても有意に低下しており,その低下率は5kPa負荷群(対照比50.0%減)の方が15kPa負荷群(対照比30.1%減)に比べ大きかった。 3)IL-1βの遺伝子発現量については,どちらの条件においても負荷後早期に一時的な増加が認められたものの,24時間以内には元のレベルにまで戻った。 4)bFGFに関しては,5kPa負荷群ではほとんど変化が認められなかったが,15kPa負荷群では負荷後早期に一時的な増加が認められた。 5)MMP-9mRNAの発現は,5kPa負荷群ではほとんど変化が認められなかったのに対し15kPaの条件では24時間まで増加し続けていた。 6)MMP-2やTIMP-1,アグリカン,II型,X型コラーゲンmRNAの発現量は,いずれの負荷でも変化しなかった。 7)ザイモグラフィーによりMMPsの産生を調べると,proMMP-9およびMMP-9蛋白の産生量は5kPaの条件では変化しないのに対し,15kPaの条件では24時間後増加していた。しかし,MMP-2蛋白の産生量はどちらの条件の負荷においてもコントロール群に比べ大きな変化はなかった。
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