研究概要 |
異種材料との界面における前装材の破折,劣化,摩耗の原因の追求とそれらを防止するための方法を二種類の摩耗試験機を用いて検討した.材料界面には接着剤,ぷらいま-を使用し,未使用の場合と比較を行った.適切な接着促進物質は被着体によって異なるので,歯質に対してはリン酸エステル系モノマー,金銀パラジウム合金には硫黄系モノマー、無機フィラーを含むレジンにはシラン系モノマーを使用した.摩耗試験後の表面性状を電子顕微鏡で観察し,イメージスキャナー,計算機で解析した.摩耗量は表面粗さ計で測定した. 前ブラシ摩耗試験においてはフィラーの粒系や,フィラーとマトリックスの結合が摩耗量に影響を与えていることを明らかにした.三成分系摩耗試験では繰り返し荷重による材料の微小破折が摩耗の機構であることを確認した.接着界面にはプライマーや接着剤の応用が必須であり,これによって界面の破壊とその結果生ずる摩耗を可及的に防止できると結論づけた. なお,摩耗試験に先立ち,強力な光線を照射できる重合器を製作してこれを用いたところ,前装材硬化後の諸性質が大幅に改善された.
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