研究概要 |
市販12%パラジウム銀銅合金は金の含有量が12wt%パラジウムの含有量が20wt%に固定されている。しかしながら、本合金の主成分である銀の含有量は45wt%から55wt%であり、銅の含有量は10wt%から20wt%にそれぞれ変化している。この合金組成の銅量をPd-Ag-Cu三元系状態図上に示されている共晶組成域まで増量することによって液相線を低下させることができると考えられる。また、α_1固溶限付近の組成と比較して全体的な靱性向上が期待される。 本研究では市販12%金パラジウム銀銅合金組成中のCu量を25wt%に増量して組成の合金を試作し、この合金の熱処理と引張特性との関係を検討した。また、この合金に20wt%亜鉛を添加した影響についても検討した。この合金は温度域で引張強さと伸びのバランスがよく、引張強さはそれぞれ時効材で90MPa,急冷880MPa,空冷材で680MPa,伸びはそれぞれ時効材22%,急冷材では最低値が22%,空冷材で44.4%を示した。 Cuを増量した試作合金はこの種の市販合金に比較して靱性が大きく向上した。しかし、本合金組成に亜鉛を2wt%添加することにより材質は脆化した。しかし、炉外空冷処理することで強さは犠牲になるが靱性は向上した。
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