研究概要 |
生体親和性に優れ、機械的強度が金合金に匹敵する純チタンをテレスコープ・システムへ適応することによって重量の節減やメタルフレームと同種金属で対応できるなどの利点がある。本研究では純チタンを用いて鋳造製作した内冠に、鋳型材の混液比および鋳造機を変えて外冠を製作し、内冠と外冠の維持力について検討した。支台歯には上顎小臼歯を用い、テ-パ-6°の円錐型テレスコープの内冠を製作し、それに適合する外冠のパターンを製作した。鋳型材として純チタン専用に開発されたアルミナマグネシア系鋳型材チタベストCB(モリタ)およびリン酸塩系鋳型材T-インベストメント(G-C)を使用し、標準混液比を中心に前後4段階の混液比で埋没し、鋳造した。鋳造機はそれぞれ専用のシステムを使用した。なお、同様にテ-パ-6°で製作した金合金(type IV)製の内冠に同種の金属で外冠を製作した。内冠と外冠を3kgfの荷重で装着し、オートグラフを用いて引っ張り速度5mm/minで内冠から外冠を引き抜き、維持力とした。また、荷重量を3kgf,5kgf,7kgfおよび10kgfで装着した場合の維持力、ならびに着脱回数を500回、1000回および2500回で行った場合の維持力についてそれぞれ検討した。鋳型材の混液比を小さくすることによって膨脹量は促進され、維持力は低下し、標準混液比より小さい混液比で外冠を製作した場合に金合金に匹敵する維持力が得られた。いずれの鋳型材も標準混液比の場合には強い維持力を示し、テレスコープ・クラウンとしては適切ではない。また、外冠に加えた荷重量では3kgfと5kgfとの間に有意の差は認められなかったが、10kgfでは急激に維持力は大きくなった。さらに着脱回数については1000回までは有意の差は認められなかったが、2500回では初回の73%に減少した。 今後さらに赤外線鑞付け器を用いて、鑞着後の維持力の変化について検討する。
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