研究概要 |
1.plasmid rescue法を用いて,pAP3neoに組み込んだcDNA libraryをscreeningしたが,ts性を相補するcDNAは単離できなかった.今後,新たなcDNA libraryを作成すると共に,よりselection pressureをかける選択法を用いたcloningを計画中である. 2.オカダ酸(セリン・スレオニンフォスファターゼ1,2阻害剤)をF9細胞を作用させると細胞は著しい形態変化をおこすと共に細胞周期のM期にて停止した.その際,濃度依存性に,かつ経時的に分化マーカーであるplasminogen activatorの産生を認めた.さらに,Northen blotでplasminogen activator,laminin B1,jun関連遺伝子群(c-jun,junB,junD)の発現を認めた.さらに,このJUNの発現によるAP-1の活性化がTRE(TPA-responsive element)を介するものであることがCAT Assayにて明らかとなった.これらのことから,オカダ酸によるフォスファターゼ阻害が蛋白質のリン酸化の見掛け上の活性化を惹き起こし,AP-1の活性化を介してF9細胞の分化マーカー遺伝子の発現を誘導したと考えられた. 3.F9細胞に抗癌剤であるシスプラチン(CDDP)を作用させるとplasminogen activator,laminin B1,c-junの発現がみられ,アポトーシスに至る前に分化が誘導された.その際,細胞周期はG2-M期で停止するが,その過程でp53は変化せず,cdc2の消失が関与していることが明らかとなった。
|