研究課題/領域番号 |
07672181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
河野 憲司 (1996-1997) 大分医科大学, 医学部, 講師 (50214664)
清水 正嗣 (1995) 大分医科大学, 医学部, 教授 (90013846)
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研究分担者 |
小野 敬一郎 大分医科大学, 医学部, 教務員 (10191967)
河野 憲司 大分医科大学, 医学部, 助手 (50214664)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 癌遺伝子 / 遺伝子増幅 / 生物学的悪性癌 / 予後 / 生物学的悪性度 |
研究概要 |
われわれは口腔扁平上皮癌における癌遺伝子の増幅、過剰発現の臨床的意義を捉えることを目的として、cyclin D1遺伝子に注目して検討を行った。まず舌扁平上皮癌Tl、T2症例36例の原発巣におけるcyclin D1蛋白の過剰発現を免疫組織化学的染色により検討したところ、約80%の症例で過剰発現を認めた。角化症、上皮性異形成では明らかな発現増強を認めず、cyclin D1過剰発現は発癌よりもむしろ癌の進展と関わっているものと考えられた。またcyclin D1過剰発現は低分化型の癌、びまん性浸潤を示す癌に多い傾向であった。さらにcyclin D1の発現を染色標本上で半定量的に評価したところ、高発現群と低発現群の累積5年生存率はそれぞれ49.4%、85.5%であり、前者は有意に累積5年生存率が低いことがわかった。 次に、口腔扁平上皮癌の予後におけるcyclin D1の関連をより詳細に、かつ定量的に評価するため、同遺伝子の増幅を検討することを計画した。通常、DNA増幅の検索はSouthern blot法によって行われるが、多量のDNAが必要であること、時間がかかることなどの問題がある.そこで、PCR法を利用したDNA増幅の検出法が可能か否かを検討した。single copy geneとしてγ-interferon geneを選び、同一チューブ内でcyclin D1遺伝子とγ-interferon 遺伝子に対するPCRを行った。cyclin D1 primerは5′-TTC TgC CTT TgA TgT TAC-3′と5′-Agg CTg AAT CAA TgT CTT-3′、γ-interferon primerは5′-TCT TTT CTT TCC CgT TAg gT-3′と5′-CTg ggA Tgc TCT Tcg ACC TC-3′を用いた。この結果、primer濃度を調整することにより、両方の遺伝子を増幅し、同時に検出することができることがわかった。signalの濃度をdensitometerで計測し、癌組織のcyclin D1 signal:γ-interferon signal 比(A)を得ることができる.cyclin D1 geneのsingle copy control としてcyclin D1増幅のない検体を追加し、cyclin D1 signal:γ-interferon signal比(B)を求めれば、(A÷B)が癌組織におけるcyclin D1増幅率となる。さらにPCR法で求められる増幅率がSouthern blot法で得られる増幅率と一致することを検討する必要があり、今後の課題である。PCR法を利用した遺伝子増幅の検出は、パラフィン包埋材料から抽出きれた条件の悪いDNAや、微少材料へも応用範囲が拡大されることが期待でき、その有用性は大きいものと考える。
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