研究概要 |
Julia縮合とは、スルホンのα炭素アニオンとアルデヒド間の反応により,βヒドロキシ・スルホンを生成する反応で,専ら分子間の炭素・炭素結合形成に利用されてきた。 本研究者はこれまでに,同縮合の分子内バ-ジョンをテトロノリド(抗腫瘍活性抗生物質)の大員環形成に導入し,その全合成に成功しているが(1991年),その手法の一般性を検証すべく本研究を行なった。 対象とした天然物は,14員炭素環のサルコフィトールA(発がんプロモーター)および15員環のテルペスタシン(HIVシンシチウム生成阻害活性)で,何れもテトロノリドと同一のアリル・アルコール単位を大員環に含むものである。 目的のJulia縮合は、分子末端に共役アルデヒド基とフェニルスルホンをもつ前駆体を用い,反応条件を吟味した結果,塩基としてリチウム・ヘキサメチルジシラチド,溶媒にベンゼンを使用することで目的の大員環形成を実施することができた。すなわち,本研究者の設定した分子内Julia縮合の反応条件は,反応点が遠隔でフレキシブルな配座の系においても有効であることを確認した。
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