研究概要 |
今年度の研究目的は,ジアミノプリン誘導体が有効な学習記憶改善作用を示したので、向知能薬(抗痴呆薬)の開発に向けて研究を行った。また,新規な三環性のプリン誘導体(トリアゾロプリン)にキサンチンオキシダーゼ阻害作用が見出された。現在、痛風治療薬で尿酸生成阻害剤として知られているのはアロプリノールだけであり、これよりも強い活性を持つ化合物を見出す目的で研究を進めた。 1.8-置換1-アミノ-3-メチルグアニン誘導体の合成を行い薬理活性を検討したところ、健忘を惹起することが知られているスコポラミンに対して、1-amino-3-methylguanine誘導体の中に拮抗作用を示す化合物が見つかり、脳機能改善薬としての新薬開発に向けて一般合成法を確立した。 2.新規な三環性のプリン誘導体として9H-[1,2,4]triazolo[3,4-1]purine骨格を有し、その3位にアルキル又はアリール基を、また5位にクロル、アミノ、カルボニル、チオカルボニル基等の置換基が導入できる新規合成法、及びそれらのヌクレオシド類の合成法を確立させた。 3.新しいタイプの痛風治療薬を開発する目的で、対照としてアロプリノールを用い、合成した化合物に対し尿酸生成酵素(キサンチンオキシダーゼ)阻害作用についてスクリーニングを行ったところ、in vivo試験において、多くのプリン及びトリアゾロプリン誘導体がアロプリノールよりも数百倍もの強い活性を示した。特に、3-p-chlorophenyl-9H-[1,2,4]triazolo[3,4-1]purin-5(6H)-oneはアロプリノールの1000倍以上の強い活性を示した。また、in vitro試験においてもアロプリノールに近い活性を持つ化合物がみつかり、今後の更なる研究により新しい痛風治療薬としての開発に期待が持てる。
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