研究概要 |
Emericella属菌についてはTLC及び生理活性試験による検討の結果をもとにして以下の成分の分離を行った。E.purpureaからはアンジオテンシンII受容体結合阻害作用のあるvariecolinとともに同類のセスタテルペン2種を単離・構造決定した。さらに新規インドロジテルペン誘導体を得て、現在構造決定中である。エールリッヒ試薬陽性化合物分離の過程で得られた3種の黄色色素epurpurin A-Cは新規2,3-dicyano-1,4-diphenyl-1,3-butadiene誘導体であり、L1210に対する細胞増殖抑制作用あるいは血小板凝集作用が認められた。E.falconensisおよびE.fruticulosaからは発癌プロモーター抑制作用が期待される新規9種の還元型azaphilone誘導体及びazaphiloneとともに長い共役系を有する新規黄色化合物2種を単離して、その構造を決定した。また、E.hetrothallicaからはAspergillus fumigatusに強い抗菌性を示す18,22-cycloergostane骨格を有するステロイド3種を単離し、それらの構造を決定した。E.foveolataの菌液からはsecoemestrin Cを単離し、その構造を決定した。本化合物はemestrinの分解過程の重要中間体である。 Talaromyces属は一般に寒天培地上で培養すると、多量の子嚢殻を形成し、その中にはアザフィロンをはじめとする多種の黄色色素を産生している。T.austrocalifornicusから既知の還元型アントラキノン二量体及びアザフィロンが単離された。また、T.wortmanniの亜種から発癌プロモーター抑制作用が期待される数種のazaphilone誘導体及びアントラキノン二量体を得た。T.eburneusからα-naphthopyrone三量体を得、その構造を確定中である。さらに、近縁のPetromyces muricatusからは抗菌性を有する4種の新規bisindolylbenzene誘導体、新規bisindolylbenzoquinone誘導体及びインドロジテルペンを単離し、その構造を決定した。
|