研究概要 |
(S)-ピログルタミン酸から容易に導くことができるα-フェニルセレノ体からα,β-不飽和-トランス-エステル体を合成し、立体選択的なシス-ジオール化を行った。オスミウム酸のみでジオール化をおこなうと(2R,3S)-体と(2S,3R)-体の比は約2.5:1であったが、ハイドロキニジン誘導体をキラルリガンドとして用いる重複不斉反応を行うとその比は93:7に向上した。一方、ハイドロキニン誘導体を用いるとその比は19:81と生成物の生成比が逆転した。両化合物はTBS系の保護基を用いるとカラム分離できる。(2R,3S)-体からは、エステル部をNaBH_4にて還元して一級アルコールにした後、スワーン酸化してアルデヒドに変換後、ビニル基を立体選択的に導入し(80% de)、ピロリジン環に閉環し、アレキシン類の合成に有用な(2R,3R,4R,5S)-3,4-ジヒドロキシ-2,5-ジヒドロキシメチルピロリジン、ならびにその5R-体を高収率で得た。また(2S,3R)-体からは、同様にエステル部をNaBH_4にて還元して一級アルコールにした後、ピロリジン環に閉環し、一級アルコールの保護基を除去した後、4-メトキシフェニル基を導入する。生成した二級アルコールをトリエチルシラン-トリフルオロメタンスルホン酸にて除去し、接触還元にて全ての保護基を除き、アニソマイシン誘導体を効率良く得た。
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