研究概要 |
炭化弗素イオンをC5F11COO^-に固定し、炭化水素イオンとしてCmH2m+1NH3^+(m=12,14,16,18)を持つイオン性界面活性剤4種類(C12F11,C14F11,C16F11,C18F11)を合成し、気/水界面における単分子膜状態を、表面圧/面積曲線及び表面電位/面積曲線(設備備品)を278.2-315.2Kの温度範囲で測定をした。これらの膜形成物質を純水上に展開するとm=18以外は安定な膜を形成しなかった。そこで膜形成物質の下相への溶解を防ぐため濃厚電解質(4.4M NaCl)水溶液を下相として用いた。C16F11,C18F11の転移圧は測定温度によりそれぞれ種々に変化を示し,m=16に対して2つ、m=18に対し3つの相転移圧が観察された。転移圧の出現は,表面電位(表面双極子モーメント)の測定においても支持されている。しかし、C12F11,C14F11試料は上記の温度範囲では転移圧を示さなかった。また一定圧力下において、アルキル鎖が短くなるに従ってπ-A等温線は広い面積に移行している。Alkylammonium perfluorohexanoatesにおいて、対イオンの炭化弗素鎖長が十分長くないので、表面電位は平均分子面積の減少に伴って、ゼロ付近から小さな突起を経由し(m=14,m=18を除いて)正の値へと単調に変化した。殊にC18F11のΔV挙動は際立っておりC18F11のΔVの絶対値(約600mV)は他の塩(C12F11,C14F11,C16F11)のそれらの値と比べて2〜3倍大きな値を示す。μ_⊥-Aについても同様なことが言える0.35nm^2以下の面積で、炭化水素鎖長が長くなるにつれて,表面双極子モーメントが鎖長順に増大している。以上これらの結果及び、相図と熱力学量との間に明確な対応関係が存在し、単分子膜の状態が明かとなった。更に表面電位の測定結果より、膜の配向が明かとなった。これとは別に炭化弗素鎖と炭化水素鎖の相互作用を考慮するため、それらの脂肪酸の混合単分子膜の実験を行い、鎖長の組み合わせにより、共沸混合系、共融混合系、全く混じり合わない系に分類された。また上記の基礎データーをもとに2次元動的過程の解析を展開した。
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