研究課題/領域番号 |
07672334
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
安西 和紀 放射線医学総合研究所, 第1研究グループ, 主任研究官 (70128643)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | アニオンチャネル / 脂質平面膜 / 表面電荷 / テトラヒメナ / 繊毛膜 |
研究概要 |
原生動物テトラヒメナから調製した繊毛膜ベシクルをアゾレクチンあるいはPE/PS混合脂質からなる平面膜(全体として負電荷)に融合させるとカチオン選択性で常時開口状態をとるチャネル活性が観察される。一方、中性のPE/PS混合脂質からなる平面膜に融合させると、これまで観察されなかった2種類のイオンチャネルが観察された。一つは常時開口しているリ-クチャネルで、100mM KClの溶液条件でコンダクタンスが66pSでカチオン選択性であった。もう一つはリ-クチャネルに重なって観察される開閉の激しいチャネルで、全開口状態の単一チャネルコンダクタンスが73pS、半開口状態のコンダクタンスが9pSの2つの開口状態をとった。イオン選択性はP_<Cl>:P_K=3.7:1でアニオン選択性であった。テトラヒメナ繊毛膜においてアニオンチャネルが観察されたのは初めてである。アニオン間の選択性は、P_F:P_<SO4>:P_<Br>:P_<Cl>=0.52:0.25:1.1:1であった。このチャネルは、IAA-94で阻害された。 このアニオンチャネルは平面膜が全体として負電荷を有するときには観察されなかった。一方、中性あるいは正電荷を有する場合は高頻度に観察された。このようなチャネル活性出現の脂質依存性の原因として2つの可能性が考えられる。一つは、平面膜の脂質の表面電荷によって融合するベシクルの選択がおこりアニオンチャネルを有するベシクルは負電荷を有する平面膜に融合しにくいという考え方であり、もう一つは、組み込まれたアニオンチャネルが負電荷を有する膜中では不活性化しているという考え方である。これらの可能性を検討するために非対称の平面膜を形成してアニオンチャネルの出現確率を調べた。その結果、融合面が中性で反対側が負電荷を有する平面膜の場合はアニオンチャネルが観察されなかった。この結果は、テトラヒメナ繊毛膜に存在するアニオンチャネルは平面膜脂質の負電荷によって不活性化されていることを示唆している。
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