研究概要 |
これまで培養法では作製が不可能であったバクテリア死菌-LPSによる劇症肝炎モデルをスフェロイド培養法を利用することで作製可能にし、本劇症肝炎モデルに関与する免疫担当細胞、サイトカイン、接着因子、及びその詳細な発現機構の一部を免疫薬理学的に明らかにすることを目的として研究を行った。 本研究により、スフェロイド形成の迅速化を目的として温度感受性ポリマーを用いることなく非実質細胞を含む混合肝細胞をそのまま回転培養することでスフェロイドを形成する方法を新たに開発した。回転培養法を用いたP.acnes-LPS劇症肝炎は、P.acnes感作肝細胞播種後24時間でスフェロイドを形成するので肝細胞のバイアビリティ及び肝機能の高い状態でLPSを添加できる利点がある。 そこで、本肝障害発現に関与する免疫担当細胞、サイトカインや接着因子を免疫化学的及び免疫組織学的に同定した結果、IL-1,TNF-α,IL-8などのサイトカインや接着因子LFA-1が本劇症肝炎の発症に関与していることが明らかになり、論文発表した。さらに、8年度の実施計画にある肝保護作用が認められている5化合物、チオプロニン、ブシラミン、カテキン、ゴミシンA及びヘムオキシゲナーゼ阻害薬プロトポルフィリン、の抗肝炎作用を本肝障害モデルを用いてスクリーニングしたところ、in vivoの結果と相関した肝保護作用がin vitroでも認められた。 また、肝炎自然発症ラットLECの肝細胞スフェロイドを温度感受性ポリマーを用いて作製し、銅異常蓄積機構及び肝炎発症に至る過程の一部をスフェロイド培養系を用いて解明し、論文発表した。
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