研究概要 |
1.前年度Ahレセプター(AhR)の発現の個人差を調べた際に見られた血球中のAhrの高い発現は,単球に由来することが明らかとなった。さらに,ヒト血球系培養細胞を用いた研究結果はAhRがヒト血球中においてはmonocyte-macrophage-linageの分化と共に発現してくることを示している。 2.上記の結果をふまえて,ヒトAhレセプター遺伝子の発現調節機構について分子レベルで解明するため,主にプロモーター領域の構造及び機能について解析した。 ヒトAhR5'上流領域とその各種部分欠失配列とをCATベクターに組み込みAhR遺伝子の転写に重要なシスエレメントの存在を明らかにした。さらに,単球・マクロファージ系細胞特異的と思われるエレメントが推定され,その件について現在,ゲルシフト法等を用いて詳細に解析している。 3.Ahレセプターは各種の細胞において抗エストロゲン作用を示すことが知られているが,その分子機序はいまだ明らかでない。エストロゲンレセプター(ER)の発現にAhR自身が影響を与えているとも考えられ,その点についてもERの発現調節の観点から研究を行っている。
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