研究課題/領域番号 |
07672464
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
上釜 兼人 熊本大学, 薬学部, 教授 (90040328)
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研究分担者 |
入江 徹美 熊本大学, 薬学部, 助手 (60150546)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | インスリン / シクロデキストリン / 自己会合 / 表面吸着 / 凝集 / 吸収速度の制御 / 持効性注射剤 / 蛋白性薬物 / 酵素安定性 / 凝集性 / 熱変性 / 非経口吸収性 / 放出制御 |
研究概要 |
本研究では、環状オリゴ糖シクロデキストリン(CyD)を用いて、代表的な蛋白性薬物であるインスリンの製剤特性の改善を企図した。まず、インスリンの凝集および容器への吸着に及ぼす親水性CyDの影響を他の添加剤の場合と比較検討した。次に、インスリンの自己会合に及ぼす親水性CyDの影響を限外濾過法、表面張力測定、熱分析、各種スペクトル法を用いて検討し、CyDによるインスリンの会合抑制機構を考察した。さらに、インスリンをラットに皮下投与時の血中動態や血糖降下作用に及ぼす親水性CyDの影響を検討した。以下に、本研究で得られた知見を要約する。 1.親水性CyDの中でG_2-β-CyDはインスリンの薬効を損なうことなく、凝集や容器への吸着を顕著に抑制した。一方、S-β-CyD、SBE7-β-CyDおよび離液性アニオン類はインスリンの凝集を促進した。親水性CyDはインスリン分子の比較的表面に位置する芳香族アミノ酸と直接相互作用して単量体-2量体間の平衡に影響を及ぼし、インスリンの自己会合を制御するものと推定された。 2.各種CyDを含有するインスリン溶液をラット皮下投与後の血漿中IRI濃度の時間推移を比較すると、G_2-β-CyDはインスリンの吸収速度にほとんど影響を与えなかったが、DM-β-CyDはインスリンの吸収速度を増大した。一方、SBE4-β-CyD添加系では血漿中IRI濃度の持続並びに静脈内投与に匹敵する高い吸収率が得られた。 上記知見から、DM-β-CyDは速効型インスリン製剤の吸収促進剤として、SBE4-β-CyDは安定した基礎分泌の役割を果たす持続型インスリン製剤用の安定化剤としての有効利用が期待される。本研究で得られた成果は、生体適合性や安全性に優れる親水性CyDを用いて、ペプチド・タンパク性薬物製剤の有効性や品質向上を企図する際の有用な基礎資料になるものと考えられる。
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