研究課題/領域番号 |
07672480
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80140896)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | カテコールアミン / 分泌 / 生合成 / インターフェロン-α / インターロイキン-α / Ca^<2+> / カルモデュリン / プロテインキナーゼC / 副腎髄質細胞 |
研究概要 |
1)インターフェロン-αのカテコールアミン分泌及び生合成に対する影響 (1)サイトカインの1種であるインターフェロン(IFN)-αは臨床使用上、うつ症状等の精神異常を引き起こす事がある。今回著者は中枢カテコールアミン(以下CA)神経系のモデルとして培養ウシ副腎髄質細胞でのIFN-αのCA分泌・生合成に及ぼす影響について検討した。IFN-αを細胞に添加すると、培養メディウム中へ分泌されるCA量が濃度依存的(10-1000U/ml)に増加した。この促進作用はIFN-α処理後8時間で認められ、48時間後も観察された。(2)この時^<14>C-チシロンからの^<14>C-CA生合成に対してIFN-α(1000U/ml)は影響しなかった。(3)IFN-αの細胞内刺激伝達系を調べる目的でIFN-α処理後の細胞内プロテインキナーゼC活性の変動を調べた。その結果IFN-α(10-1000U/ml)はプロテインキナーゼCの細胞質から細胞膜へのトランスロケーションを引き起こした。以上の結果をまとめると、IFN-αは副腎髄質細胞からのCA分泌を促進するが、その細胞内機序としてプテインキナーゼCの活性化が関与している事が考えられた。 2)甲状腺乳頭腺癌患者由来細胞株(NIM-1細胞)の増殖とそのシグナル伝達機構に及ぼすインターロイキン1-αの作用 (1)インターロイキン1-α(IL-1α)(0.01-1ng/ml)はNIM-1細胞の増殖を促進した。その作用はL-型電位依存性Ca^<2+>チャンネル阻害剤のニカルジピンにより阻害された。(2)IL-1αは細胞内への^<45>Ca^<2+>流入を促進し、この作用もまたニカルジピンにより抑制された。(3)IL-1αの細胞増殖作用はプロテインキナーゼCの阻害剤H-7では抑制されなかったが、カルモデュリン阻害剤W-7によってほぼ完全に抑制された。以上の結果よりIL-1αはNIM-1細胞を増殖させるが、その細胞内機序としてCa^<2+>/カルモデュリンの関与が示唆された。 3)CA生合成及び分泌調節におけるCa^<2+>/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMキナーゼII)の関与 CaMキナーゼIIの選択的阻害剤KN-62のCA生合成及び分泌反応に及ぼす影響について検討した。その結果KN-62は生理的刺激剤アセチルコリンによるCA分泌及びチロシン水酸化酵素の活性化を阻害した。しかしながら同時に^<45>Ca^<2+>流入及び^<22>Na^+流入も抑制する事からKN-62は細胞内CaMキナーゼIIを抑制するというよりも、細胞膜のイオンチャンネルに作用してCA分泌・生合成を阻害しているものと思われた。 以上の結果をまとめると、免疫系の情報伝達物質であるIFN-αやIL-1αは神経系や内分泌系細胞に対して種々な影響を及ぼしており、その細胞内機序としてプロテインキナーゼCやCa^<2+>/カルモデュリン系の関与が考えられた。
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