研究概要 |
今回,バンコマイシン(VCM)耐性腸球菌(VRE)の正確な検出を目的として,各種の薬剤感受性試験を評価,解析した結果,以下のような結論を得た。 1.vanA,vanB,それぞれに特異的なプライマーを用いたpolymerase chain reaction(PCR)法での同時増幅とアガロース・ゲル電気泳動によるPCR産物の分画から,VREを正確に分別,検出することが可能であった。 2.phenotypeでのVRE検出では,8μg/ml濃度のVCMを添加したMueller-Hinton agar寒天培地でのスクリーニング法が最も精度が高く、簡便な試験方法であった。 3.National Committee for Clinical Laboratory Standars(NCCLS)ディスク法,昭和ディスク法,いずれもその菌発育阻止円径の計測からは,感性腸球菌とVRE,特にvanB陽性VREの正確な鑑別ができなかった。 4.Etestでの試験では,特に48時間培養後の判定で精度高くVREが検出され,検討した58株のVREはすべて耐性あるいは中間に判定された。 5.自動細菌検査装置,Vitek Systemsの薬剤感受性試験では高い頻度でVREの偽感性が観察され,VRE検出の感度に乏しいことが確認された。 このような成績から,臨床検査室でのVRE検出には,まずagar screening法あるいはEtestを採用し,これで耐性に判定された菌株についてPCR法でvanA,vanB遺伝子を検索する方法が勧められる。
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