研究課題/領域番号 |
07672507
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
原野 昭雄 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (60069028)
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研究分担者 |
原野 恵子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教授 (00069072)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 異常ヘモグロビン / αサラセミア / βサラセミア / グロビン構造解析 / 遺伝子解析 / ヘモグロビン合成試験 |
研究概要 |
血色素異常症の疑われる患者やその家族構成員についてHbを構成するグロビン鎖の量的異常であるThal症や質的異常である異常Hb症の解析をHb分析、グロビンの構造解析、グロビン合成試験を行うと共に遺伝子解析(DNAやmRNA)でその病態の解明を行った。日本人に見られるα-Thal症はPCR法により遺伝子解析を行い、α鎖遺伝子の欠損型のα-Thal-2症や、重症型のα-Thal-1症を明らかにした。また複合型のHb H症も数例発見された。一方,β-Thal症の場合は、β鎖遺伝子の欠損による例は少なく、プロモーター領域の塩基置換による転写効率の低下に起因するタンパクの合成低下、開始コドンの消失によるタンパク合成不良、スプライシング領域の変異による異常mRNAの生成や挿入や脱落によるコドン枠の組み換え(frame shift)や停止コドンの新生など多種多様の遺伝子異常を確定した。平成7年にはα-Thal症は11例、点突然変異β-Thal症は17例解析した。また、質的異常の異常Hb症も世界で発見されている数(約600種)の3分の1にあたる180種以上の存在を確認し、平成7年には64例の解析を行った。ここに至り、Hb異常症の地域的、民族的偏りもみられ、過去の民族の移動による遺伝子流入と思われるような中国大陸や東南アジア諸国によく見られる異常HbやThal症の原因遺伝子も発見されている。国際学術研究の一環で行った韓国人の異常Hb症の研究ではすでに日本人にも発見されている変異体が同定され、東南アジア地域(ソロモン諸島国やパプアニューギニア)の住民からは日本人の中には未発見のHbI-TouloseやHbJ-Tongarikiを同定することができた。また、国際結婚の増加により日本には従来みられなかったけれども諸外国にはまれでないHb異常症も増えており、臨床家の注意を喚起せねばならない。構造や合成異常Hb症は患者自身の自覚症状の乏しいことから兎角軽視されがちであったが、その病態を明らかにすることにより対応(治療)も適切に行われるようになると思われる。
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