研究概要 |
本研究の目的は運動学習の過程において筋、皮膚、関節の感覚情報が中枢内感覚系でどのように処理されるか、また中枢に到達する感覚情報が到達する前に大脳運動野からどのような修飾を受けているかを、体性感覚誘発電位の各種成分の変化から明らかにすることである。本研究の一連の実験結果から次のようなことが明らかになった。 (1)随意動作に伴う体性感覚誘発電位成分の減少は感覚系入力のよるものと考えられるが、しかしながら感覚入力が存在しているときでも、電位成分の減少には、さらに中枢性機構が関与している可能性がある。(2)体性感覚誘発電位成分の減少には皮膚からの感覚系入力が重要な役割を演じていることが明らかになった。特にこの振幅減少は随意動作の時に著明であることが確認された。(3)電位成分の振幅の抑制は中枢性機構と末梢性機構の相互作用で生じると推察される。すなわち、動作遂行の種類に応じて中枢性機構が優位になるときもあるし、他の場合では末梢性機構が優位な役割を演じていることもある。(4)随意動作に伴う体性感覚誘発電位成分には課題に対応した選択性があると考えられる。さらに本実験結果から、随意動作に伴う体性感覚誘発電位成分の振幅減少の選択性は導出部位F3、C3,P3におけるN20電位,P30電位,N35電位,P45電位成分に観察されたという大変興味深い知見が得られた
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