研究概要 |
水泳動作における身体各部の動きの解析を行った.被験者は,大学生選手,中学生選手,スイミングスクールの生徒,素人とした.クロールで泳いでいる被験者の映像を水中の側方からTVカメラで撮影した.この映像をパソコンへ取込み,身体各部の2次元座標の時間的変化から,その動きを計測した.特に,腕の動作(プル),体の軸の動き,足の動作(キック)について解析を行った.その結果,プルについては,選手では,肘および手首の急激な角度変化はなく,指先は円に近い軌跡を描き,肩の真下で最も深い位置を通っていた.その他の被験者では,前後方向に長い楕円形をしており,必ずしも,指先が肩の真下で最も深い位置を通ってはいなかった.体の軸の動きでは,選手は,上下の動きが少なく水平に近い姿勢をとり,素人では,上下の動きが大きくまた腰が沈んでいた.腰が沈むと投影断面積が大きくなり水の抵抗が増大する.キックは,選手では,速度および膝の角度が一定していた.それ以外の被験者では,速度や角度の変化が大きいことが分かった. これらの解析は,DOSの環境下で行ってきた。しかし,より鮮明な映像表面やプレゼンテーションを行うために,Windows95上で処理ができるように新たなソフトウエアの開発を行った。作成したソフトウエアでは,手作業を極力なくし映像表示から解析までを一貫してできるようにした。映像の表示や解析結果を重ね合せた映像のメディアへの記録は,ファイル名を指定するだけで可能である.また,注目点を線で結んだ身体の骨格表示をアニメーションの如く動かして表示することもできる。さらに,各注目点の速度や角度変化等は,メニューに用意した項目を順次選択することで画面にグラフとして表示される。今後は、ソフトウエアの完成度を増すこと,およびこのソフトウエアを利用してフォームと推進力の関係を調査することが必要である.
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