研究概要 |
ハワイ・カナリア・アゾレスの各諸島の主だった火山とアセンション火山島の地形分類図を描き、それらの火山の地形発達と火山タイプの特徴について検討を行った。 ハワイ諸島ではKilauea,Mauna Kea,East Maui,Lanai,Molokai,Oahu島の火山、カナリア諸島ではTenerife,Lanzarote,Ferteventura,Hierro,Gran Canaryの各島の火山、アゾレス島ではFayal,Flores,Graciosa,Alegranza,Corvo,San Jorge,Terceira,Miguel,Picoなどの火山島を研究対象とした。それから得られたいくつかの知見をのべる。 ハワイ諸島の火山はその主体が薄い玄武岩質溶岩流からなる大型楯状火山である。その形成には100万年程度の歳月を要するが、その活動終止後、数百万年経過して高アルカリ岩質の小型火山が生ずる。一方カナリア・アゾレスなどの火山島では大型楯状火山の形成に平行するか遅れて、フォノライト質の溶岩ドームや厚い溶岩流が多く見られる。例えばアゾレス諸島のTerceira火山島では楯状火山の上に火砕流を噴出した後に形成されたカルデラ、その中に生じたフォノライト質溶岩ドームが大量に認められる。一方同じくアゾレス諸島のSan Jorge火山島はリフトに沿って長く延び、頂部に多くのスコリア丘をもつ典型的な楯状火山である。カナリア諸島のTenerife,Hierro火山島でも火砕流噴出と関連したカルデラ、成層火山の形成が楯状火山の形成と平行するか、遅れて起こっている。またFerteventura,Lanzarote、Gran Canary火山島では1000万年以上以前(海底の火山体も含めると1-2億年前からかも知れない)から継続的に火山活動があったことが知られ、これら大西洋の海洋火山島の諸火山の性格は太平洋にあるハワイの火山群の特徴と異なることが明らかになった。これらの特徴の差異はカナリア・アゾレスの火山がマントル深部に起源をもつプルームによって生じたいわゆるハワイ型のホットスポットの火山でない可能性を示唆する。
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