研究概要 |
「琵琶湖の富栄養化」と「酸性雨」を素材とした小・中学校における水環境学習の教材開発,学習指導案の作成を学校現場の教諭の協力を得ておこない,実践授業を通して実証的に研究を進めた。できるだけ,体験・実験実習を通して科学的に理解できる学習を目指して検討した。この過程で児童・生徒が野外や教室内で容易に使うことができる測定器具を開発したり、安価な市販の器具の環境学習への応用を試みた。製作した器具には,簡易比色計,長い透視度計,応用した器具には,ph比色計(指示薬),簡易ろ過器などがある。さらに「富栄養化」学習の中で,リン酸イオンの検出液(モリブデンブルー法)を使った授業を展開したが,楽しく理解しやすい授業として推奨できる。また,ごく普通に家庭で使っている調味料や野菜のしぼり汁などを使って,植物プランクトンの培養を小学校レベルでもできる工夫もした。学校における環境教育を支援することを目的に,琵琶湖流入河川水の水質をモニタリングし,マップとして表した。調査・水質分析に現職教員の協力を得たが,地域環境を素材とした教材の開発に有効な結果が得られた。今後も,学習指導案に検討を加え,環境学習のモデルとなる授業を指示するとともに,他教科との関連を検討しながら,総合教科(環境科)を目指して研究を続けていく予定である。また,環境学習のための基礎データを得るために,雨水を継続的に分析しデータを得,児童・生徒にわかり易い表現方法に関する基礎検討を行った。将来,小・中学校における環境学習に活かしていくことができるであろう。
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