価値観と科学技術の認識に関する意識調査を米沢女子短期大学の学生並びに父母と米国のワシントンのBig Bendコミュニティカレッジの学生を対象に実施した。それを解析した結果、以下ことが分かった。 1 国内調査においては、短期大学生が科学技術に対して抱く興味・関心の程度は、父親よりかなり低いものの、母親とは同程度である。また、科学技術は社会にとってプラスかマイナスかという科学技術に対する評価でも、母親と比較してさほど評価が低くなっているとはいえない。したがって、この調査からはかならずしも若い世代で科学技術放れが生じているとはいえない。ただ、父母の科学技術認識自体が変化していることは種々の調査から明らかであり、父母が学生時代に持っていた関心の度合いと比べると低下しているものと推測される。 2 科学技術全般について社会に受け入れることへの賛否を問うと、父母の方が賛成が多いが、個別の事象に対する賛否については、むしろ学生の方が積極的反応を示している。病気治療のための遺伝子組み換えや臓器移植などもそうであるが、中でも、パソコンやインターネットを社会に受け入れることについては、明らかに親の世代より受け止め方が積極的である。 3 科学技術を進展を支える科学技術者に必要であると思われる素養のうち'粘り強さ'などは父母より軽視する傾向にあり、理数系科目で必要な積み重ねを要する知識や技術の習得が危ぶまれる。 4 公平、公正、正義などの一般に倫理の徳目について日米を比較すると、明らかに米国の学生の方が重視の程度が高い。インターネット利用における倫理意識においてもこの傾向は同じで、科学技術の振興の観点のみならず、国際社会で通用する人間性を育成するという意味からも、倫理意識の昂楊が望まれる。
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