研究概要 |
この研究の目的は,教師の授業実施過程における授業事象の認知と意思決定の特徴を把握するものである。教授過程において,教師の教授行動に影響を及ぼす要因には主に3つの要因が考えられる。一つは,教授事象の認知であり,二つ目は教授事象の認知に基づく教師の意思決定であり,3つ目はその事象に対して授業技術を適応することである。これを確認するために,授業の前と授業の後に授業者にインタビュを実施し,授業者自身の反省的思考を手がかりに,必要とする情報の入手を試みた。授業の全過程はビデオによって六がされ,授業プロトコルとして文字化され,分析用データとした。この結果以下のことが明らかになった。 1 教授行動はそれまでの教職によって形成された意識的経験に影響される。 2 隠れた経験も教授行動に影響を及ぼすが授業者は気が付かない。しかし,インタビューによってそれが意識化される。 3 中堅教師は教授を長いスパンでとらえており,1時間の授業はその一時点との明白な認識がある。それゆえ,フィードバックではなくフィードフォーの機能をとる。 4 授業計画と実施には多くのギャップがあり,これを反省的思考で広い視野でもって,修正する。
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