研究概要 |
本年度はエキスパートに評価してもらった情報を利用して,評価法の学習を支援するシステムとして,「AHPによる毛筆書写の評価支援システムの開発」(岡山理科大学情報処理センター研究報告,No.17,1996)を報告した.また,収集した毛筆書写事典,教科書,指導書など参考にして,小学校の児童の書道作品を評価する項目について検討し直した.それを専門家に検討してもらって完成した4〜6階層の71評価項目の階層構造図についてこの論文の中に記載している.また,いくつかの作品についてエキスパートに評価してもらった情報を利用したシステムの構成法について,「AHPとファジィ推論を用いた毛筆書写の評価法を学習する知的システムの構成」(日本科学教育学会研究会研究報告,Vol.10,1996)において報告した。 エキスパートによる評価のない作品の漢字についても適切な指針が示せれるように,評価基準に基づいて,手本と作品の外形を比較して,評価項目ごとに異なる部分の面積の比率からファジィ推論を用いて定量的に評価を行うアルゴリズムを開発した.これらの成果について「毛筆書写教育評価支援システムの設計および実装」(電子情報通信学会技術研究報告,ET96,1997)において報告した.今後,評価の妥当性を高め,評価できる評価項目を増やして実用的なシステムに発展させたい。 小学校で学習する漢字すべてについて練習できるシステムを構築するため,手本画像,作品画像,および漢字のデータベースを構築した.2年間児童の作品の提供を依頼して,小学校で習う主な作品についてほぼ収集できた.手本の画像データベースの構築と提供された作品の画像データベースの構築を続行中である. 平成7〜8年度の2年間にわたる研究の結果,以上述べたようなことが可能になり,この分野の先駆的な貢献ができるものと考えている。
|