研究概要 |
食物領域で最も基礎となる栄養素に関しては、物質の何たるかを学習する場がない。問題点を指摘した上で、この問題解決のために実験を可能な限りとり入れた指導計画を検討し提示した。 1.問題点の指摘 学習指導要領および指導書(文部省)を歴史的にみたところ、度重なる指導要領の改定により、栄養素(物質として)の指導は次第に消えていることを指摘し、この指導に当たっては、小・中・高(縦)の、おび関連教科間(横)の密接な連携のもとに行うことの重要性を提示した。 2.実験を取り入れた指導 生徒の学習意欲を喚起させるためには、授業に実験を盛り込むことが効果的と考え、次に述べる実験教材の開発を行った。 (1)ビタミンについて-ビタミン以外の栄養素の化学については、理科で扱っているが、ビタミンは家庭科ではじめて出てくる物質であり、家庭科で十分指導する必要がある。ビタミンCは最もよく知られている。その検出法は、従来、学校教育では、酸化型の検出に問題があったが、この点を解決し、提案した。(日本調理科学開始,28(3),210〜216(1995)) (2)緑色の野菜中に赤色カロチンが含まれていることを目で見て実感させるさせるために薄層クロマトグラフィーによる簡単な分別を行った。 (3)油を使用した加工食品は多く、油は酸化されやすい。酸敗の進んだものを食べることは危険である。酸敗の程度を調べるPOVテスターは非常に高価であるため、安価に実験できる改良方を開発した。これにより授業の中で生徒各自が実験できる。(日本家庭科教育学会平成8年度大会で発表予定) (4)食塩の摂取量も考慮し、食生活の中にインスタント等の加工食品の上手な取り入れ方の指導法を提示した。 年度内に、実践に至らなかった点は残念であるが、4月から附属中で実践する計画である。
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