研究概要 |
本研究では,ネットワークを利用したマルチメディア対応教育情報の蓄積と交換に関する研究を行なった。 マルチメディア対応教育情報は,これまでの学校教育のみならず,社会教育を含む生涯学習全体の中で利用されている。そのため,まず,生涯学習の中でどのような情報教育が行なわれているか,さらにどのようなマルチメディア情報が利用されているかについて考察した。このとき,本研究では特に学校教育の中でのマルチメディア情報について注視し,教育現場においてどのような利用可能情報があるか調べた。また,これらの情報をネットワークを介して利用する際に,どのような最低限のシステム構成が必要かについても検討した。 マルチメディア情報の利用に関する考察に加え,実際にマルチメディア情報を利用する際に問題となる大容量画像ファイルの扱いについても検討した。画像ファイルを磁気ディスク上に記録する際には種々の画像ファイルフォーマットが利用される。このとき,まず,画質を犠牲にしてもファイル容量を少なくできるJPEGフォーマットの利用が便利である。本研究では,従来のJPEGフォーマットよりもさらにファイルの圧縮率を向上させることができる新たな画像圧縮技法を考案した。これは,従来のJPEG圧縮よりも,画質を劣化させることなくさらに1割程度ファイル容量を圧縮できるものである。なお,画像のみならず音声等の信号情報についても考察した。このとき,入手した信号をあらかじめ処理する必要があるが,信号処理における処理能力の評価手法についても確立した。さらに,これら画像や音声を含む現在利用されているほとんどのファイルフォーマットを調査し,約350種類のマルチメディアフォーマットについてカテゴリ別に分類した。これにより,どのような意味のマルチメディア情報かを識別できるようになった。 これらの新しい手法を利用して,学校教育の中で利用されるマルチメディア情報をネットワーク利用すべく,WWW環境に基づいたマルチメディア対応教育情報のデータベースを構築した。これにより,遠隔地からも物理的な距離を気にすることなく共有のマルチメディア情報を利用することができ,学校教育における理想的な情報環境を示すことができた。
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