研究概要 |
実習教育において学生の関心を高めるための方法として,栽培試験区を設け,各区の生育調査や収量調査を行わせることが有効であることを先の調査で明らかにした.また,コンピュータの普及に対応して独自に開発したコンピュータ利用による気象観測システムを用いて実習を実施したところ,教育効果を上げるのに役立つことが分かった.これら両者を融合させて実習を行えば,さらに教育効果が増すものと期待できる.そこで,栽培実習教育の現場で使用可能なコンピュータによる環境計測のためのシステムの開発を進めた.そして,このシステムを栽培環境教育の場で有効利用するため,複数の作物について処理区を設け,生育調査および収量調査などを行った.コンピュータ利用による栽培環境情報収集システムは,センサ,パーソナル気象台および文字放送の情報を1台のノートパソコンで処理し,モニタシステムにこれら情報を出力するものとし,さらに,このシステムの高機能化を目指しローカルエリアネットの構築を試みた.個々のシステムは極めて有用な教材とみなされたが,全体のシステムはコンピュータやOSなどの違いを充分解決することができず、今後の問題として検討することとなった.実習教育ではマルチの有無や栽培時期をずらすことで処理区を設け,栽培作物の管理中に得られる多くの栽培環境情報を適切な形で学生に提供するための方法,コンピュータの利用により学生の栽培に対する関心を高めるための方法などに注意を払いながら進めた.その結果,学生にはコンピュータにより収集した栽培環境データと生育調査データから栽培環境と生育との関係についての理解を深めさせることができた.また,栽培とコンピュータとが融合した実習モデルを構築することができ,現状では不完全ながらも多くの学生の興味をある程度高めることができた.今後も引き続き,より教育効果を高める方法について検討する予定である.
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