研究概要 |
本研究は,経験的把握による授業評価の分析を客観的に実施することを主眼とし,学習者側から見た授業評価と合わせて,教師の主観的情報を科学的に処理できるファジイ理論による授業分析法の確立を目的とした。これらは,生徒個人やグループあるいはクラス全体の学習定着度の検討や授業評価の分析,教授行動と学習定着度の関係,および情意面を含んだ評価の客観化をはかるものである。 クラスター・因子の両分析と,ファジイ分析で,情報教育の学力向上に必要なこととして,特に前者では「興味・関心・意欲」が,後者では「態度」という「情意面」があげられ,その上で「知識・理解」という「知性面」が構成されていた。 このことは,中学・高校・大学一貫して情報教育は,一般的・情意的信頼,教科指導力,すなわち「教科内容の段階化」「教科内容への目的意識・意欲」「専門内容の平易な教授と実習指導」が必要であることを示している。これは,すなわち問題として上げられた「カリキュラムの充実」をはかることがまず大切であることが言える。 これらの調査から,生徒・学生の学力向上が人間的接触・実技指導・理論的指導という具体的な教科指導力に影響し,クラスター分析,因子分析で得られた結果を,さらにファジイ分析を用いることにより学力の定着と意欲,興味・関心という情意面が教師の指導力と共に深く関係していることが明確にされた。 この2年間の研究では,「興味・関心」などの因子が各学習者に共通して,教師の人間としての接触が深く関わっていることがわかった。今後の研究方向としては,ファジイ分析の新たな展開,例えば従来のファジイ測度とメンバーシップ関数による分析に加えてファジイグラフやファジイ積分,時間の経過と実践後の様子を含めた3次元的分析を広く一般教育の中で行う必要があろう。
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