研究概要 |
本研究はコンピュータで計算することにより、問題の計算量の下界を求めることである。(m,n)-マージングネットワークにおける最小比較器数M(m,n)を求める問題を考える。M(1,n)は明らかであり、M(2,n),M(3,n)についてはすでに結果が知られている。またM(n,n),n(〕ltoreq.〔)5,n=7,8,9の値も既知である。 1.M(6,6)に対しては16(〕ltoreq.〔)M(6,6)(〕ltoreq.〔)17が知られていた。研究代表者等はM(6,6)=17を理論的に証明した。(論文投稿中) 2.M(4,5)=12,M(4,6)=14,M(4,8)=17であることを証明した。このうちM(4,6)=14の証明はコンピュータによる膨大な計算を含む。この計算においては、13比較器からなるマージングネットワークをコンピュータですべて調べあげ、それらが(4,6)-マージングネットワークとなっていないことをチェックした。バックトラックやデータ構造などプログラム上の工夫が必要であった。(論文掲載済) 3.M(4,7)=16,M(5,6)=16であることをコンピュータで計算することにより求めた。計算量が膨大なので、計算時間を短縮する手法を考案する必要があった。(論文は研究会で発表済) 研究分担者の笠井は自然言語の解析のためのアルゴリズムを考え、新しい構文解析木として「左右木」を提案した。さらに「プッシュダウン変換機」を導入し、その性質を示した。山崎はグラフアルゴリズムの解析を行い、あるパラメータが固定されたグラフのクラスに対し、グラフの同型問題が多項式時間で解けることを示した。(論文掲載済)これらはいずれも本研究をすすめるための基礎研究であり、今後の研究に活かす予定である。
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