研究概要 |
研究計画に従い,超高速ネットワーク環境下における新しいクラスタコンピューティングの基礎技術を開発するための実装実験と性能評価を行った.本研究の主な成果を以下に示す. 1.ハイブリッドモデル(共有メモリ/メッセージパッシング)に基づくクラスタコンピューティングを実現するHybrid DSEを開発した.性能評価では,メッセージパッシング機構の追加実装に伴う顕著なオーバヘッドは認められず,分散共有メモリ機構を活用したPVMやMPIの高性能実装のための基礎技術を開発した. 2.効率の良い共有メモリアクセスを実現するため,ネットワーク遅延を隠蔽するソフトウェアキャッシュ機構をサポートしたCached DSEの実装法を提示し,ソフトウェアキャッシュを実現した.高速ネットワーク環境下における実装結果から,共有メモリへのリモートアクセスにおいてネットワーク遅延を隠蔽できることを確認した.また,アプリケーションによる性能評価では従来のDSEに比べて大幅な高速化を達成し,Cached DSEの有効性を確認できた. 3.メモリコンシステンシモデルとしては,Sequential Consistency(SC)モデルとRelease Consistency(RC)モデルについて実装実験を行った.また,RCモデルにはコヒーレンス制御実行の時点が異なるEager Release ConsistencyモデルとLazy Release Consistencyモデルが提案されている.いずれのモデルにも無効化型プロトコルと更新型プロトコルが選択できるので,計6種類のコヒーレンスプロトコルについて実装した.その実験結果から,Lazy Release Consistencyモデルの性能が最も良い結果となることを明らかにした.
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