研究概要 |
以下に示す1〜3が平成7年度,4〜5が平成8年度の研究成果の概要である. 1.計算モデルの構築:オブジェクトを並行処理の単位として,それらが分散システム上で能動的に動作する計算モデルを構築した.このモデルでは,各オブジェクトの能動的な振舞を記述するために,順路式の概念を導入した.結果の非同期受信には,宛先オブジェクトを送信時に指定する方式を採用し,一対多通信と非同期通信の柔軟な組合せを可能にした. 2.言語と実行時環境の設計:上記のモデルに基づくシステムを記述するために,C_<++>を基にした言語と,その言語で記述されたプログラムの実行を支援するための実行時環境を設計した. 3.単一プロセッサ上での実現:単一プロセッサ上での言語処理系と実行時環境を実現した.実行時環境は,BSD系のUnix上でC_<++>を用いて実装した.並行オブジェクトは,Unixのプロセスとして,オブジェクト間通信は,SIGNALによる非同期のメッセージ授受として実現した.これらの仕組みを用いて,一対の多通信を行うためのオブジェクトマネージャ,非同期通信用の宛先オブジェクトなどを実現した. 4.ネットワーク環境での実現:以上の成果から,ネットワークで接続された複数のワークステーション上で分散オブジェクトが動作するための実行時環境を再設計し,実装を行った. 5.C_<++>の前処理系としての言語処理系の実現:単一プロセッサ上での実現から明らかになった問題点を解決するために,言語仕様の一部を修正した.続いて,上記の実行時環境を利用したプログラムを生成するC_<++>前処理系を実装した.
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