研究概要 |
組織の知的活動を対象とする「組織知能」(人間知能と機械知能との交絡集積体)研究において,人間の経験に基づく直観,或いは,暗黙知がいかに計算機と協同して知的活動を行うことができるかを明らかにすることを目的に研究を進め次の成果を得た. まず,第一線で活躍中の研究者にインタビューを実施し,外部の知識と研究者の内部の経験的知識の活用状況の過程を明らかにし,人間の直観(暗黙知)と計算機の形式知とのインタラクションに関して,人間の視点を転換させる指示を計算機が与えるという方式のモデルを設定した. 次いで,上記方式の計算機プログラムを開発し,これを用いた認知科学実験を実際の研究者に対して実施し,その有効性を次のように確認した. 本方式は,組織知能を構成する計算機が提示する「外的制約としての視点」によって人間の内的視点を転換させるものである.このような計算機による「外的制約としての視点」の転換の指示があると, ・人間の思考の範囲がひろがること, ・種々の異なった立場や関心事から思考出来ること, ・経験的知識を有効活用できること などが明らかになった.これにより,「外的制約としての視点」を基にして,人間知能と機械知能との交絡集積体である組織知能を設計できるとこの見通しが得られた. さらに,上記方式による人間知能と機械知能との交絡集積を活用して,組織における知識の結合と学習が可能となる新しい知識マネジメントによる組織の技術経営法を提案した.
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