研究概要 |
研究の目的 従来の物体形状復元法は,反射や透視投影等の過程を個々に分析し,逆にたどるものであった.これに対して,本研究は,すべての過程を総合的に考慮し,多視点画像から形状を復元できる計算アルゴリズムを確立することを目的とする.すなわち,直接測定量(カメラから入力された画像)に対して,実際の画像生成と同じ順方向で,光源,物体,カメラなどのモデルから計算して生成される画像を比較してモデルを推定するコンピュータビジョンの枠組みを実現する. また,人の知覚では,『心的イメージ(心に浮かべるイメージ)の中で仮想的物体を回転させ,心的イメージと実際の見え方を比較して形状を知覚する』が働く.この視覚的思考をシミュレーションし,その働き方を検討する. 研究実績 (1)次元を一つ落して物体を柱体,すなわち2次元として,物体認識アルゴリズムを開発した.このとき,2-D投影像は1-D投影像となる.物体はその断面形状を表す,いわゆるSnakesによりモデル化される.そして,最適化法としては比較的安定な動的計画法を適用した. (2)物体を3次元のアクティブネット,つまり三角形からなる多面体でモデル化し,三角形を拡大,変形,分割するための最適化法として非線形最小二乗法を用いた物体認識アルゴリズムを開発した.非線形最小二乗法は動的計画法とは異なり,すべての未知パラメータが干渉しても,未知パラメータ数の2乗のオーダでしか計算量が増大しないという利点がある. (3)剛体モデルについては,陰影の他にエッジ情報も用いて,仮想的物体の空間操作の枠組みで認識する計算機アルゴリズムを開発した.この研究の中で,陰影情報による姿勢の大まかな推定,エッジ情報による位置の大まかな推定,そして2種類の情報を使った精密な推定の順に働くことがわかった.
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