研究概要 |
研究期間の最初の年度では,LangeとWiehagenのパターン言語の学習アルゴリズムにおける,計算時間の平均的解析を行なった.このアルゴリズムは,すべてのパターン言語のクラスを,正例から極限において同定する.ここでは,学習が終了するまでの平均の時間を,適切なモデルを構築して解析する. LangeとWiehagenのパターン言語の学習アルゴリズムに関連して,次のような結果が得られた.Α={0,1,...,}を任意の有限なアルファベットとするとき,κ個の異なる変数を含むパターンπを学習するためにかかる時間は,最善の場合で,Ο(log_<|A|>(|A|+κ)|π|^2),最悪の場合は,制限なしであることを示した.さらに,正規分布の基で,この計算時間は,平均の場合,Ο(2^κκ^2|A||π|^2log_<|A|>(κ|A|))であり,ほとんどすべての確立分布の基で,この計算時間は,O(2^κκ^2|π|^2log_<|A|>(κ|A|))に節約できることを示した. これらの結果は,その他のパターン言語の学習アルゴリズムに応用可能である.その例として,質問に基づく学習や,良い例からの学習がある. 次の年度では,一変数パターン言語の正例からの学習について研究し,三つの新しいアルゴリズムを得た.はじめのアルゴリズムは,Angluinのアルゴリズムのアップデ-トタイムをO(n^4 log n)からO(n^2 log n)に節約したという点で,画期的である.次に,このアルゴリズムを改良して,効率的な並列アルゴリズムを構築した.さらに,Angluinの包含性質問のみを用いた学習モデルをすべての1変数パターン言語に応用し,有効なアルゴリズムを構築した. 続いて,現在までで,もっとも効率的な1変数パターン言語学習アルゴリズムを構築した.このアルゴリズムは,正例が,その例の長さに依存した確立分布にしたがって選ばれるとき,O(l^2 log l)時間でパターンを学習する.このアルゴリズムの計算時間全体は,最悪の場合は,やはり制限不可能であるが,その平均計算時間は,最善の場合の時間に関係したある定数のみによって制限される.
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