研究概要 |
本研究は,集団意思決定支援システムにおける交渉支援システムを具体的に実現することを目的としていた.交渉支援システムにおける理論的基礎としては,メタゲーム分析が広く用いられており,それを用いて交渉を支援するシステムは様々に開発されている.従来の研究は,実際に交渉にあたる当事者から状況を聞き出して,コンサルタントが利用するという形態が主なものであった.これに対して本研究では,交渉にあたっている当事者自らが利用することを想定した,交渉支援システムを実現した. すでに構築したUNIXワークステーション上のプロトタイプを,クライエント/サーバの分散環境の下で実現し,さらに複数人が同時に本システムを利用できるようにするために,複数台のパーソナルコンピュータとネットワークにより結合し,グループにおける利用環境を構築した.この際,様々なメディアによる情報の提示が交渉に対してどのような影響があるかについて調べるために,特に静止画に焦点をしぼって実験を行なった.そのために,マルチメディア対応のパーソナルコンピュータを用いている.本研究の成果として,分散環境における交渉支援について,国際会議で報告した.また,支援の対象となる決定問題の分解についても国際会議で報告した.メタゲーム分析の基本概念である,シナリオに関する形式的な議論の基礎付けについては,国内で学会発表を行なった.
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