研究概要 |
近年医学の分野では,人間内部臓器を3次元計測する技術の発展が著しい。核磁気共鳴画像(MRI)やコンピュータ断層画像(CT)などが例である。こうした装置から得られた3次元画像を基にして遠隔地にいる複数の外科医が手術についてディスカッションできる通信できるシステムとそのユーザインタフェースを構築することを本研究の目的とした。実施計画に従い我々はまずCTデータを3次元表示するボリュームレンダリング手法の考察を行った。ある程度の高速化が行えたが,基本的に2次元のサーフェースレンダリングよりも遅いので,人間の臓器を毎に分離して,対象としない臓器にはサーフェースレンダリングを行い対象とする臓器はボリュームレンダリングを用いることにした。我々が最も重視したのは臓器のモデルである。ただ画像を見るだけでは無くて我々は外部からの力を許す例えばメスで切ったり手で押さえたり掴んだりできる仮想手術を考えている。臓器を立方体を含む6面体で近似して,その稜線にバネを置くバネモデルを構築した。臓器を切ることはバネを切断することにより行われる。臓器の任意の部分を切ったり引っ張ったりできるユーザインタフェースデバイスとして3次元マウスを用いた。ワークステーションとしては,シリコングラフィックス社のINDYを新しく購入した。現在3次元マウスなど商用のデバイスでなく,この目的に特化した装置を試作中である。さらにこうしたシステムを複数個接続した通信システムの構築を行った。いわゆるクライエントサーバ(C/S)システム方式を採用した。サーバには中核となるCT画像やモデルを置きクライエントにはユーザインタフェース装置と表示を行わせるシステムである。この研究についての発表は,情報処理学会全国2回(51,52回),ユーザインタフェース学会,国際会議MultimediaJapan96の合計4件。投稿中は,国際会議APCHI'96(Singapore,June'96)の1件。 服部,金子:柔らかい臓器の3次元モデル,第51回情報処理学会論文集(2),pp287-288 服部,高橋,廣田,金子:柔らかい臓器の手術シミュレーション,第52回情報処理学会論文集(2),pp215-216, K.Hirota,T.Hattori,T.Kaneko"Implementation of Elastic Object in Virtual Environment",Multimedia Japan 96,March 18-20,1996,Yokohama
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