研究概要 |
発想支援グループウェア郡元(Groupware for New Idea Generation Support System)を用いて種々の環境で実験を行った.郡元の特徴は複数の計算機上でKJ法を行なえ,画像や音声とテキストベースの雑談機能を用いて計算機間のコミュニケーションをとることができることである.郡元はインターネットを介して離れた場所でも使用が可能である.実験の結果、以下のような知見が得られた. (1)三人一組で異なる階(2階,4階,5階)でKJ法を行い,コミュニケーションにテキスト形式のチャットだけを用いた実験とマルチメディアを用いたのKJ法の実験とを比較した.マルチメディアには画像(1秒間に1コマ程度)と音声とを用いた.その結果,KJ法の本質的な部分である意見の数,島の数,文章の文字数,かかった時間には変化がなかった. (2)二人一組で鹿児島大学と東北大学電気通信研究所との間でマルチメディアをコミュニケーションに用いたKJ法の実験を行った.この実験の結果,遠隔地でも十分KJ法は行え,マルチメディアを用いると近くにいる雰囲気になることがわかった. (3)二人一組で分散協調型KJ法を大阪大学と鹿児島大学間(遠隔実験)と大阪大学内および鹿児島大学内(構内実験)で行い,その結果を比較した.実験の結果,意見の数や島の数には差がないものの,島名文字数とまとめ文章の文字数とが遠隔地間での実験では多くなることがわかった. (4)評価を文章の内容と構造とから行うためにAHP(階層的意思決定法,Analytic Hierarchy Process)をもとにした文章評価法とペトリネットグラフによる構造の記述法を開発した.これを遠隔地でおこなった(3)の実験に適用したところ,文章の文字数が増加したことは,より多くのアイディアが文章に含まれていることがわかったが,AHPをもとにした手法による文章の評価を行ったところ紙面上の結果と有意差は生じていないことがわかった.
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