研究概要 |
本研究期間に入る前に,筆者らは,条件/事象ネット(プレースの容量が1のペトリネット)に対して,“仕様として与えられた半語の集合に対して,アクティビティがそれと一致するような条件/事象ネットを求めよ"という合成問題(この問題は,条件/事象ネットを合成する際に補助事象の導入を許すかどうかに応じて,補助事象導入合成問題と補助事象無し合成問題に大別される)を定め,それの性質・解法等について検討してきた.本研究では,その結果をもとにして,次のことを行った. 1.条件/事象ネットに対して,与えられた半言語に適合するアトム(これは上記合成問題の可解性の検討に関連して導入された概念.)全体の集合を求めるアルゴリズムの開発を行った. 2.前項の結果を応用して,補助事象無し条件/事象ネット合成問題の解全体の集合を求めるアルゴリズムの開発を行った. 3.プレースの容量が有限のペトリネットに対して,条件/事象ネットについて考えたと同様の合成問題を定めるとともに,それが解をもつために仕様が満たすべき条件について考察した. 4.仕様が階層構造をもつ形で記述される条件/事象ネット合成問題を考え,それに対して,下位レベルの合成問題の解から上位レベルの合成問題の解を求める方法を導き,条件/事象ネットの段階的詳細化の1つの枠組みを与えた. 5.条件/事象ネットの補助事象導入合成問題に対して,それが解をもつための1つの必要十分条件が筆者らによってすでに与えられていたが,解を機械的に求めるための実用的なアルゴリズムはまだ得られていなかった.この研究期間では,仕様として与えられる半言語が有限である場合と周期的である場合に対して,1つずつアルゴリズムを与えた.
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