研究概要 |
本研究の目的は,マルチメディアネットワークにおける障害発生のメカニズムを解析するとともに,障害予防手法,あるいは万一障害が生じてもその影響が局所的に留まるようなフォールトトレランス技術を研究開発することである.また,実測データを統計的に処理する手法の開発も本研究の目的の一部である.本研究の成果の概要を以下にまとめる. ネットワークのフォールトトレランス向上という面から理論的検討をおこなった.ネットワークはノードとそれらを結ぶリンクから構成される.一般にリンク数を増やすとノード間の距離は減少するがハードウェア量は増大する.本研究では,次数が5または6という一定であるようなネットワークについて,コスト(=次数×直径)の小さいネットワークを求めた.また,この次数5,6のネットワークが最大連結グラフであることを証明し,フォールトトレランスの面で優れていることを示した. 現在のインターネットではTCP/IPプロトコルが広く使用されている.このプロトコルでは誤り検出方式としてチェックサムと呼ばれる方式が用いられている.本研究では,このチェックサム方式における2重および3重誤りの検出立を解析した.4重以上のランダム誤りは生じにくいと仮定すると,パケット全体の誤り見逃し率の上界値を求めることができる. キャンパスで実際に生じた障害を,以下の観点から分類した.すなわち,物理的障害/人為的障害,影響の範囲(キャンパス全体/部局/研究室),影響の程度(全く使えない,使えるが性能が出ない/間欠的に発生/気がつかない程度)等である.これらの障害に対する対策は現在のところ十分には検討している段階とは言えない.今後の研究課題として引き続き取り組みをおこないたい. 実測データの統計処理手法の開発という観点から,大学入試における高校の成績と入学後の成績の関係について解析した.入学後の学内成績の平均が最大になるようなある種のパラメータを理論的に導出し,入学後の学内成績の平均が最大になるような選抜方法を考案した.
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