研究概要 |
具体的な企業(エンタープライズ)としてシステム(ソフトウェア)ハウスを選定し,ソフトウェア開発活動をモデル化することに焦点を当て,オントロジーとメタレベル戦略によるエンタープライズモデリングに関する研究を遂行した.オントロジー(企業モデルを構成するプリミティブ群とその体系化)については,ソフトウェア開発活動を表現するためのプロセススキーマと,プロセスの操作対象物を表現するためのオブジェクトスキーマを定義した.その後,ソフトウェア開発活動の体系化であるプロセスオントロジーについては,スキーマ属性間の関係により上位階層,スキーマ属性値により下位階層を構築する方法論を考察し,プロセスの操作対象物の体系化であるオブジェクトオントロジーについては,オブジェクトの構成要素に沿って上位階層,多重継承により具体的な操作対象物を葉節点として位置づける事により下位階層を構築する方法論を考察した.さらに,一般的なソフトウェアの開発手順とリアルタイムシステムの開発手順に関する資料を収集した後,プロセスオントロジー(約250プロセス)とオブジェクトオントロジー(約450オブジェクト)を構成した.また,これらの2種類のオントロジーを利用し,生成検査法に基づき,ユーザとインタラクションをとりながら,あるプロダクトから別のプロダクトを開発する手順の候補を自動的に作成するシステムを設計した.最終的に,前年度の設計に基づいて,Prolog言語により,知識ベースを記述するとともに,システムを実装した後に,あるプロダクト(例えば基本設計仕様書)から別のプロダクト(例えば詳細設計仕様書)を開発するための手順を尋ねると,上記の2種類のオントロジーを利用して,具体的な開発手順をユーザに提示する実験を行った.その結果,ほぼ妥当な開発手順が提示され,当初の研究目的を達成する事ができた.
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