研究概要 |
システム工学に基づくHAZOPを基礎として,知的情報処理を応用したHAZOP自動解析システムを開発した.自動解析システムは基本的には,(1)一般知識ベース,(2)プロセス固有知識ベース,(3)推論機構から構成され,Prologを用いて開発されている.一般知識ベースにはHAZOP自動解析のための知識として,対象プロセスとは独立して作成し,(a)HAZOP手法に関する知識(解析手順,規則等),(b)HAZOP解析用データベースから構成されている.HAZOP解析用データベースは主に,構成要素,装置異常に関するデータから構成されている.HAZOP解析システムの解析能力は,計算機内に蓄積した異常に関するデータの質,量に大きく依存する.本研究では各種プロセス構成要素,装置異常に関するデータを構造化,階層化し,データベースを構築した.HAZOPの対策については対策データベースを構築した.対策は,1)ずれによる影響に対する対策と2)ずれの原因に対する対策に分類した.影響に対する対策については,さらに発見のための対策,拡大防止のための対策に分類した.また,原因に対する対策については,発見のための対策,発生防止のための対策に分類した.これらの対策に関する情報はあらかじめデータベースとして構築しておく. 解析者は,解析部位,変数,手引き用語を入力し,解析すべき異常(ずれ)を指定する.解析システムは,対象プロセスモデルにしたがい,ずれの伝播構造を明らかにし,関連する原因,結果・影響,対策について解析する.さらに,その結果をHAZOP表の形式で出力する.いくつかの形式の異なる実プラントに適用し,応用上の問題点を明らかにしそれを解決した.特に,近年原子力関連プラントへのHAZOP適用が注目されている.化学プロセス,原子力関連プロセスにHAZOPを適用し,自動解析システムの実用上の問題点を抽出した.
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