研究概要 |
1.(1)1993釧路沖地震の家屋被害と新旧地形データをGISに入力し,(家屋数=6,343)行×(被害関係+土地条件指標関係)列のデータベースを構築した。そして対象地域を絞り込んで以下の解析を行った。(2)土地条件指標をいくつか検討し、釧路では以下の5指標を用いた。a:切土盛土境界線からの距離。b:盛土の深さ。c:1956時点(盛り土下の原地形)の傾斜。d:崖指標(凸部指標)。e:切盛境界(カテゴリーデータ)。(3)土地条件指標を用いて家屋被害程度を判別すべく、判別分析と数量化II類による解析を行った。(4)様々な試行の結果、一部損壊およびその他を無被害から分離しにくいこと、これらと全壊および半壊はかなり明瞭に判別できること、全壊と半環の判別はこれほど明瞭でないことなどが判った。(5)解析結果のうち、2区分(全壊+半壊/一部損壊+その他+無被害)についての判別分析では、盛土が厚いほど、盛土下の原地形の傾斜が大きいほど、境界部に近いほど、凸部であるほど、被害が大きく、またb,c,a,dの順で被害(程度)に対する影響が強いことが、明らかになった。 2.釧路の沖積低地については、2万分の1空中写真判読による地形分類を行い、地震被害との関係を調査した。その結果、とくに鳥取北3,4,5丁目および昭和町3,4丁目において、河川の旧流路と住宅被害との関わりが明瞭に認められた。 3.(港湾地区については対象を釧路から神戸に変更し)1995兵庫県南部地震による海岸保全施設、港湾施設、桟橋の被害について検討した。従来無視されてきた沖積層中の砂、砂礫層の存在を考慮した上で当該層の液状化を考慮すると、実現の被災状況を再現することができた。砂礫層をもたらした旧河川の位置情報を含む古地図、古い地形図情報を、今後のGIS情報に取り込む必要性が示唆された。
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