平成7年度では、JERS-1/SARセンサによるRAWデータからの画像データの再生処理システムをさらに実用性を高めるために高速化した。再生処理はFFT及び逆FFTを多用するため、スワップ領域の設定が重要となり処理装置にSAR処理専用に内蔵ディスクを設置し、演算を効率よく処理させることで、2ボリューム/1シーンのフル処理(約8000×6000画素)で13時間までに圧縮できた。 SAR画像は従来のセンサに較べて機能的には、優る点が多いが、レーダセンサ特有のスッペクルノイズと呼ばれるコヒーレントノイズが存在し、これがSAR画像の唯一の欠点として懸念されていた。本研究ではこれまで主に欧米で使用されてきたγマップフィルターのアルゴリズムを再検討し、その前後となった元信号の分布がγ分布ではなく、GAUSS分布であることを確認し、そのアルゴリズムを大幅に改良し、スッペクルノイズ低減フィルターを完成させた。雲仙・普賢岳の実際のJERS-1/SAR画像にこのアルゴリズムを適用し、良好な結果を得ることができた。 平成8年度までにSAR画像解析システムを完成させ、実際の雲仙・普賢岳におけるLEVEL-0の生画像再生処理システムができあがった。そこで20シーン程度のCCTを宇宙開発事業団から購入し解析に当たった。データ内容は雲や雨で受動センサではほとんど地表が見えない状況であったが、SAR画像では、はっきりと確認することができた。さらに雲仙・普賢岳における現地調査を実行し、被害状況と画像判読の結果を照合し、スペックルノイズの除去状況を現地にて確認した。 最後に問題点として残るのは、JERS-1、EERS-1の運行スケジュールの関係で必ずしも航行中全ての画像データが撮れておらず、当初の予定が変わったことにある。
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