近年、クリーンな太陽エネルギー捕集用としてアモルファスシリコン太陽電池の量産用およびペットボトルなど地球環境を汚染する有害人工化合物の無害化用として、低ガス圧動作の大面積(又は、大容量)プラズマが要望されている。そこで本研究では、この要望に対応し得るプラズマの一つとして、プラズマ表面波を用いる大面積プラズマの生成法について理論的・実験的に検討した。 理論面では、まず、従来行われてきた円筒ガラス管における表面波プラズマ理論を整理し、続いてこれを平板型大面積の理論へ拡張することを行った。この結果、表面波プラズマの欠点である密度の軸方向分布は、平板型の場合従来の円筒型の場合よりも密度勾配が約1/3程度少ないことが判明した。 一方、実験面では、現有の大面積放電箱を用いて大面積表面波プラズマの生成とその密度分布の測定を行った。放電箱は、一つは長さ1.72m×横幅72cm×高さ2.5cm、もう一つは長さ1m×横幅16cm×高さ2.5cmの二種類である。実験の結果、10〜40mTorrの低ガス圧において周波数13.56および28MHzのRFパワーを50W〜1kW程度充分注入すれば、大面積平板型真空容器の全面にプラズマを生成し得ることが確認された。また、横方向密度分布は側壁近傍を除いて殆ど一様であった。縦(長さ)方向には、注入パワーが少ない場合密度はほぼ直線的に減少し、プラズマ先端が容器終端に達する以上に注入パワーを増加させると、密度はやや不均一となる。この不均一は表面波の定在波によると推測される。 本研究の補助金は、高周波パワー増幅管・測定用機器の購入並びに解説・論文の執筆に消費した。
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