研究概要 |
Biを試料とするTOF法と相関法によって(n,γn')反応の実験的検証を行うことを目的とする。 1.検出器系の整備 実験に必要な電子回路を補充するとともに、ガンマ線検出器としてBaF_2検出器(既存)を整備し、良好なエネルギー分解能(Cs-137のガンマ線に対して9%以下)と時間分解能(〜600ps)を達成した。TOF測定には手持ちのNE213検出器(5"径x2"厚)を用い、波高、TOF、波形分布の最適化を行い、3パラメータ測定と動的バイアス処理を行う手法を整備した。20keV以下の中性子まで測定が可能となった。 2.測定と解析 検討の結果、相関法では複数のガンマ線が放出される場合の効率と中性子検出器へのガンマ線の混入が問題となることが判明したので、上述のNE213を用いた1-2MeV中性子に対するTOF測定を先行させることとした。TOF測定は準単色である^7Li(p,n)中性子源を用いて行った。これは測定系の性能向上により、単色であるはずのTi-Tターゲットを用いたT(p,n)中性子源には、(n,γn')中性子と重なる領域にバックグラウンド中性子が存在することが分かったためである。現在まで、着目するBiと(n,γn')が殆ど起こらないはずのC,Alサンプルとの間に有意な差は確認されていない。従って、(n,γn')反応の中性子を確認するには至っていないが、必要な計測系を整備し測定上の問題もほぼ解決でき、信号対雑音比では1mb/(srMeV)以下の断面積まで測定可能となっているので、改良を含めて実験を継続する計画である。本研究で整備した計測系とその手法は他の実験にも有効である。
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