研究概要 |
原子炉燃料の高燃焼度化及び超ウラン元素の消滅処理等を目指した革新的原子炉の開発を行なうためには、重要な核分裂生成物に対する精度の良い中性子核反応断面積が必要不可欠となる。本研究の目的は、Nd-143,145及びSm-147,150の各同位体について、中性子エネルギー10〜800keVの範囲で捕獲断面積、捕獲γ線スペクトル、及び非弾性散乱断面積を精度良く測定し、測定結果の理論解析を行い、現在研究中のCe-140、Pr-141、Sm-148,149,152,154及びDy-161,162,163同位体の結果と総合して、重要な核分裂生成物の捕獲反応機構及び非弾性散乱反応機構を解明することである。 本研究の成果及び今後の課題を纏めると以下のようになる。 1.Nd-143、Nd-145、Sm-147、及びSm-150の4核種について、10〜800keVの入射中性子エネルギー領域において、捕獲反応断面積、捕獲γ線スペクトル、及び非弾性散乱反応断面積を5%程度の精度で測定することができた。 2.上記の4核種の捕獲反応断面積及び捕獲γ線スペクトルについては、統計模型による計算で測定値をかなり再現できることが分かった。 3.上記の4核種の非弾性散乱断面積については、統計模型に歪曲波ボルン近似による直接反応模型を加え合わせた計算で測定値をかなり再現できることが分かった。 4.上記の4核種の結果と、現在研究中の他の核分裂生成物の結果を総合して、重要な核分裂生成物の捕獲反応機構及び非弾性散乱反応機構に関する知見を得ることが今後の課題である。
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