研究概要 |
本研究ではGC-MSを用いて、オゾン層保護条約によって使用が禁止された特定フロンとその代替物の測定法の確立に主眼を置き、基礎的な実験を行った。その結果を成果報告書としてまとめた。分析に当たっては、大気試料を濃縮する装置と市販の標準ガスを環境濃度に希釈する装置が必要であり、それらをはじめに作成した。予備実験としてGC-MS装置の性能試験も行われ、特定フロンおよび代替物に対する装置の検出下限値や検出器の感度特性を調べた。分析カラムとしてSigma Aldrich社製のVOCOL(内径0.25mm,長さ60m,膜厚1.5μm)を使用した。このカラムでは、現在多量に使用されているHCFC-141b,-142bの分析が可能であり、特定フロンと同時に使用が禁止されたCCl_4やCH_3CCl_3も同時に測定できる利点がある。しかし、低沸点の代替物であるHCFC-22とHFC-134aの分析は大気中の他成分の干渉があり、困難であることが明らかとなった。これらの代替物をきちんと測定するためにはピークの分離が不可欠で、低沸点成分に対して保持力が大きいPLOT系のカラムを使用する必要がある。都市域での測定として東洋大学川越校舎の大気試料を分析した結果、HFC-134a,HCFC-142b,-141bがそれぞれ、12〜32ppt,10〜30ppt、12〜75pptであり、気象条件によって数倍の濃度変動があるが、使用が禁止された特定フロンやCCl_4やCH_3CCl_3の濃度変動は代替物に比べ小さい事が分かった。
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