研究概要 |
本研究はイソプレノイドの生合成に重要な「プレニルトランスフェラーゼ」の構造と機能解明を目的として、下記の成果を得た。 1. Bacillus stearothermophilusのファネシル二リン酸(C_<15>-PP)合成酵素について (1)部位特異的変異の導入によって(a)アリル性基質の結合に必須なアミノ酸残基として、保存領域VIのGlnが、(b)イソペンテニル二リン酸の結合に重要なアミノ酸残基として保存領域IとVに存在するLysおよび領域VIのDDxxDモチーフの最後のAspが同定できた。(c)触媒反応に直接関与している残基として保存領域VIのFQxxDDxxDモチーフの内のPhe,および1,2番目の2つのAspが同定され、特にPheは反応の律速段階であるアリル性カチオンの生成と安定化に寄与している可能性が示唆された。 2. Bacillus stearothermophilusのヘプタプレニル二リン酸(C_<35>-PP)合成酵素遺伝子のクローニング プレニルトランスフェラーゼに特徴的な7つの保存領域の配列を考慮してプライマーを合成し、PCRによって増幅されるクローンを得、これをプローブとしてハイブリダイゼーションを行った結果、C_<35>-PP合成酵素遺伝子のクローン化に成功した。酵素の発現の有無を指標にしたクローンの特定化により、この酵素はヘテロサブユニット構造を持っていることが遺伝子レベルで証明できた。 3. Micrococcus luteus B-P 26のヘキサプレニル二リン酸(C_<30>-PP)合成酵素遺伝子のクローニング 2の場合と同様のプライマーを用いて、PCRやサザンバイブリゼーションを行って得たクローンをプローブとして、C_<30>-PP合成酵素遺伝子およびC_<15>-PP合成酵素遺伝子のクローン化に成功した。C_<30>-PP合成酵素は常に解離しているヘテロサブユニット構造を持つことが証明された。
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