研究課題/領域番号 |
07680632
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物有機科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
磯部 隆一 九州大学, 薬学部, 教務員 (60183167)
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研究分担者 |
樋口 隆一 九州大学, 薬学部, 教授 (60122727)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 質量分析 / 高速原子衝撃質量分析 / 衝突活性化解裂スペクトル / スフィンゴ糖脂質 / セレブロシド / セラミド / 金属イオン輸送 / 機能解析 |
研究概要 |
当該年度の研究実施計画に従って、スフィンゴ糖脂質の最小単位であるセレブロシドとナトリウムイオンとの相互作用機序の質量分析による解明を目指した。研究実績の概要は以下の通りである。 1,基礎研究として、まず質量分析が困難とされてきた種々な化合物について、高速原子衝撃(FAB)スペクトルおよびタンデム質量分析装置(MS/MS)による衝突活性化解裂(CAD)スペクトルの有効な測定手法を発案し構造解析を実施すると共に、本研究における質量分析の必要且つ十分な条件を決定した。 2, Nacl添加m-nitrobenzyl alcohol (matrix)により棘皮動物に由来するセレブロシドの(+)FABスペクトルを測定すると全ての試料について明瞭な[M+Na]^+イオンを認めたが、これら[M+Na]^+イオンを前駆イオンとしたCAD-MS/MSスペクトルではα-オキシ脂肪酸を構成成分とする場合に限りセラミド部(非糖部)のアミド結合切断を示すフラグメントイオンを特徴的に検出した。セラミド自体を試料とした場合もセレブロシドの場合と全く同一の結果が得られた事から、糖部とは無関係なナトリウムイオンとの相互作用が推測された。この現象は、拡張ヒュッケル法による分子軌道計算結果および電子スペクトルの解析結果を基に考察された。すなわち、(1)セラミド部α-オキシ基はアミド結合の共鳴安定構造へ影響を与え、それ故(2)アミド窒素原子のナトリウムイオンへの配位が容易となり(3)その結果が気相中での[M+Na]^+イオンのCADでアミド結合切断を惹起したと考察された。 3,以上の研究結果は(1)スフィンゴ糖脂質と金属イオンとの相互作用機序解明に全く新しい情報を提供すると共に、(2)本研究法が、α-オキシ脂肪酸を構成成分とするスフィンゴ糖脂質の場合に、その炭素鎖長の簡便な決定法として構造研究上極めて有用である事を明らかにした。
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